ウェブサイト制作、越境EC、データ分析、リスク管理に携わったことがある人、またはアンチスクレイピングに遭遇したことがある人であれば、User-Agent という用語を一度は耳にしたことがあるはずです。
多くの人がそれの重要性は理解していますが、User-Agent・ブラウザ・OS・デバイスの関係を明確に説明しようとすると、意外と曖昧になりがちです。
そこで本記事では、User-Agentとは何か、ブラウザ・OS・デバイスとの関係、そしてなぜ正確な場合とそうでない場合があるのかを詳しく解説します。

User-Agent(UA)とは本質的に、ウェブサイトにアクセスする際にブラウザがサーバーへ送信する文字列で、「私は誰か」を能動的に伝えるものです。
この文字列には通常、以下の情報が含まれます:
• ブラウザの種類(Chrome、Safari、Firefox など)
• ブラウザのバージョン
• オペレーティングシステム(Windows、macOS、Android、iOS)
• デバイスの種類(PC、モバイル、タブレット)
• レンダリングエンジン(WebKit、Blink など)
つまり、ウェブサイトが使用中のブラウザ・OS・デバイスを判別できるのは、主にUser-Agentのおかげです。
この3つを混同する人は多いですが、実際の仕組みはとてもシンプルです。
ブラウザ(Chrome、Edge、Safariなど)がUser-Agentを生成し、送信する役割を担っています。
ブラウザごとにUAの構造が異なるため、UAからブラウザ種類を判別することが可能です。
OS自体がUAを送信するわけではありませんが、その情報はUAに含まれています。例:
• Windows NT 10.0
• Mac OS X 10_15_7
• Android 13
• iPhone OS 17_0
そのため、User-Agentを解析することで、実行中のOSを把握できます。
UAは「私はモバイル」「私はPC」と直接は言いませんが、キーワードによって示唆します:
• Mobile、Android → ほぼスマートフォン
• iPhone、iPad → iOSデバイス
• Mobileが含まれない → 通常はPC
これが多くのサイトで行われているモバイル最適化やPC/モバイル振り分けの基礎です。
User-Agent解析とは、UA文字列を「ブラウザ / OS / デバイス / エンジン」といった構造化情報に分解することです。
一般的な解析方法には以下があります:
• 正規表現による解析
• UA解析ライブラリ(例:ua-parser)
• サードパーティのUA検出API
⚠️ 注意:UAは変更・偽装が可能です。そのため、リスク管理や不正対策においてUAだけに依存するのは不十分です。
実運用では、User-Agentには以下のような問題があります:
• ブラウザで手動変更が可能
• エミュレータや自動化ツールで簡単に偽装できる
• 異なるデバイスでも同じUAを使う場合がある
• ブラウザ更新で同一デバイスのUAが変わる
そのため現在、多くのシステムでは 👉 「このUAは本当に信用できるか?」 をチェックしています。
ブラウザフィンガープリントはUAだけに依存せず、以下のような複数の要素を組み合わせます:
• Canvasフィンガープリント
• WebGLフィンガープリント
• フォント一覧
• タイムゾーン、言語
• 画面解像度
• ハードウェア同時実行数
• UA情報自体
これらを組み合わせることで、比較的安定した「ブラウザフィンガープリント」が形成されます。
UAが変更されていても、フィンガープリントの不整合によって容易に検出可能です。
自分のUAやブラウザフィンガープリント情報を可視化したい場合は、
ToDetect フィンガープリントツールを利用できます。主な用途は以下の通りです:
• 現在のUser-Agent詳細を確認
• UA解析と認識テスト
• フィンガープリントの一意性チェック
• フィンガープリント漏洩リスクの分析
• アンチフィンガープリントや環境分離の検証
開発者、運営者、越境EC、広告運用、アンチスクレイピング研究にとって非常に実用的なツールです。
まとめると、現在の一般的な業界慣行は以下の通りです:
👉 UAは基礎情報、フィンガープリントは高度な検証
最終的に、User-Agentは「不正対策」のためのものではありません。それは「私はこのブラウザ・OS・デバイスを使っています」と名乗る自己紹介のようなものです。
UAは変更・偽装・大量複製が可能なため、現在では多くのプラットフォームがブラウザフィンガープリントを組み合わせ、より精度の高い識別を行っています。
環境がどのような情報を公開しているのか、またUA解析の正確性を確認したい場合は、ToDetect フィンガープリントツールで包括的にチェックしてみてください。